2021.4.11(日)、小学校外国語授業づくり研究会4月プレミアムセミナーの第2弾を開催しました。甲南女子大学の村上加代子先生(英語教育ユニバーサルデザイン研究学会AUDELL主宰)をお招きして、「読み書きの躓きポイントを知って指導の引き出しを増やそう」をテーマにお話しいただきました。
冒頭、アルファベットの指導がどうこうという話以前に、全体の「絵が見えていない」といけないということをおっしゃっていました。何事も初学の指導は難しいとした上で、今の指導がどこにどうつながるのか。全体を理解した上で、子供の躓きポイントを知って、どこにどの程度力を入れて指導すべきか。目的と児童理解の視点を持つことで、指導の引き出しが増えるとのことでした。失敗を3回繰り返すと定着し、そのリカバリーは難しくなる。躓いてから対応するバリアフリー発想ではなく、躓きを想定したユニバーサルデザインの発想で指導をしていく。「どうせできない」から「これならできる」へ。子供たちに自信をもたせ、学習意欲を大事にしていく。とても大切な教育観について話をしていただきました。
また、日本語と英語とを比較しながら、英語の音韻認識スキル・文字認識力を育てることの重要性を教えていただきました。
今回の講演におさまりきらなかった具体的な指導例は、資料の中でたくさんご紹介いただいています。オンラインサロンではこちらの資料をシェアしています。さらに詳しくお知りになりたい方は以下の書籍をおすすめします。
↓15のつまづきポイントとよくある5つのお悩みとその対応策、15の活動案が紹介されています。
↓こちらでは、具体的な指導法が50例も紹介されています。
↓村上加代子先生の最新刊はこちら (2021年5月刊行)
参加者の皆さんからの感想です。
・年度のスタートに当たり、読み書きの躓きポイントから、段階的な指導について教えていただき大変学びが多かったです。今まで、学期末にSound and Letters(東書)で扱っていましたが、年間を通して帯活動としてフォニックスを取り入れていこうと思います。中学年での導入時期も検討していきます。また、低学年(15時間英語活動)に、どのように取り入れていくかも、JTEと担任と検討し、段階的に計画していく必要性を切に感じました。後半の具体的な指導法も機会がありましたら、また勉強させていただきたいです。
・とても今の時代に必要な、重要な考え方を学んだ気がします。中身が濃い分、量も多くてもう一回しっかりと聴きたいと感じました。
・今までなんとなく行っていた読み書き指導でしたが、子供たちのつまづきについては、その場限りの対処のみで、先々のことを全く考えていなかったと反省しました。専科2年目になるので、しっかりと計画を立てて、音韻認識を育てる指導を始めていこうと思います!村上先生、ありがとうございました。
・とっても納得、なるほど、そういう視点もあったのかー!と引き込まれながらが講話を拝聴させて頂きました。ユニバーサルの視点を取り入れた読み書きのノウハウを、もっと深く学びたくなりました。まずは、村上先生の御本を購入し、熟読するところからスタートしたいと思います。宜しくお願い致します。
・ありがとうございました。英語と日本語の音節の違いに気づかせる方法を教えていただき早速やってみたいと思います。日頃から音韻認識させながら、読み書きも丁寧に積み重ねていけるよう私も学び続けたいと思います。
・音韻認識や文字認識を指導することが読み書きの力にどうつながるかよくわかりました。顎に手を当てることで音節の数がわかるなど、具体的な指導方法も教えていただき、大変参考になりました。
・困った子=困っている子 と捉えて、児童にとっての分かる授業をめざしたいと思いました。また、「障害は個人にあるのではなく、社会にある」という考え方を知り、授業改善したいと思いました。3,4年生での文字の形の認識、音と文字の対応等、5年生になっても、中学年の学習内容を補完しつつ、いろいろなレベルの児童に分かりやすく文字を提示していきたい。音素について、フォニックスより先、という点を理解しました。児童には暗示的、明示的に示していきたいと思いました。文字でつまずいている児童が多いことを再度認識しました。自信、やる気につながる指導、寄り添った指導、心がけていきたいです。来週からの授業に向けて、児童を支援する姿勢を思い出させていただきました。ありがとうございました。
・いつも、読み書き指導で気を付けるべき、大切な点について教えて頂き、ありがとうございます。知り合いの小学校の先生方から、「村上先生のお話、すごいよかったです。」とメッセージをたくさんいただきました。
・言語は段階を踏んで丁寧に指導する必要があると言うことを、改めて考え直すことができました。私は特に高学年を教えることが多いので、初めて文字を読み書きすると言うことが抜けていたように思います。母語である日本語とは言語の種類が大きく違っているのですから、なおさらです。まずはSからゆっくりと始めていこうと思います。本日はありがとうございました。
・理論的に、かつ例も挙げて説明していただいたので、とっても分かりやすくて理解できました!今後どんなことを段階的にやっていこうかなと考えられました。お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
・つまずきの原因を探るのではなくつまずかせないことを意識しながら授業を組み立てることの重要さについて理解することができました。具体的な実践などは,先生のスライドや本も見て勉強したいと思います。ありがとうございました。
・とても素晴らしい内容のセミナーでした。以前から村上先生の講義を聴かせていただき細々と実践していましたが、今回、ようやく小学校外国語に携わる先生方に広く伝わり、「良い衝撃」を与えたと大変嬉しく思います。ブレイクアウトルームでの感想は、「取り入れたいが時間が足りない」「5,6年生だけでは無理、低学年、中学年から始めるためにはハードルが高い」などの意見がありました。実際、私も低学年で『文字を使わない音韻認識』中学年から『jolly phonicsを一文字ずつ』高学年で『大文字・小文字の読み書き』を実践し、これこそが日本人に合った英語指導と強く感じています。しかし、音韻認識や小学校に合ったフォニックスを指導できる教師がいないのと、教科書をこなすだけで時間を取られ、学校単位で導入するには難しい状況です。今後、日本人に合った日本の子ども達のための英語教育が全国の小学校で行われることを願います。本日は素晴らしい学びをありがとうございました。
・内容が具体的でわかりやすく大変勉強になりました。昨年度途中からジョリーの導入を始めたばかりですが音韻認識の活動も入れていきたいと思いました。ALTにお願いしようと思います。また、子どもの躓きをなんとか回避できるようにしたいです。既に躓いている子のフォローも考えていこうと思います。ありがとうございました。
・本日は久々のセミナー参加で、新たに学んだ事、再確認できたこと、大変有意義な学びの時間を提供して頂きありがとうございました。小学校英語支援員として高学年は専科教員と、他は担任の先生方とTT指導をしております。今年度は特学の子たちが中高学年に交流で入りますし、他にも発達障害の可能性がある子たちが何人かづついるので、彼らににもどうすれば伝わるか、個々にも寄り添いながら、文字を使ったコミュニケーション力を育てていきたいと思います。そのためにも、これまでもやってきた音声中心の授業に、プラス、音韻認識に繋がるアクティビティを中学年から帯で入れていこうと思います。昨年度はコロナ禍もあり、中学年は発音たいそうでフォニックス導入したり、高学年はNHEにはライミングやアリタレーションの問題がついているので、帯活動で数問ずつやりました。でも単語を聞かせ、選ばせ、答え合わせのルーティンだけではなく、音節分解をしたり、書きに繋げるアドバイスを専科教員にしていきたいと思います。
・本日も学びの多いお話をありがとうございました。一斉指導の中でも、一人一人の子どもよく見て、躓かせない手立てをしっかりと考えていきたいと思います。躓かせない工夫をしても、やはり躓いてしまった子をできるだけ早く見つけてあげられるように見取りも丁寧に取り組みたいです。私の勤務する学校には、「きこえとことばの教室」や「特別支援学級」があり、通常級に在籍し補修的な指導を受ける子や、支援級に在籍していて英語の時間だけ通常学級に参加してくれるお子さんなどがいます。先日管理職との話で、特別支援級のお子さんに対して適切な英語指導が提供できていないことを残念に思っている。できればクラスを新設したいというお話がありました。一斉授業のなかでもできることがあり、友達とともに学ことで生まれる効果があると考える一方で、子どもたちが安心して自分の力にあった環境で学べる事も大事なのでは・・・。ともやもやとしてしまいました。現状では特別クラスを新設することは難しいのですが、子どもそれぞれの多様な学び方に対応できるよう、自分自身の知識や経験を増やしていきたいと思っています。今後も、皆さんと情報の交換をさせていただきながら、学びを深めていきたいです。ありがとうございました。
・慎重に丁寧に文字と音の指導を行うことを、初学者に英語を教える立場の者は、心しておかねばならないと感じました。自分の受けてきた英語教育がどれほど乱暴なものだったかを知るにつけ、同じことを目の前の子ども達にしてはいけないのだと感じます。障害は本人にあるのではなく、社会にある。それを実感する機会の多い年代になりました。合理的な配慮と手だてが取れる指導者になりたいと思います。
・得意または楽しいと思っていた英語が、読み書きができないことで点数が取れず苦手教科になってしまった中学生を沢山見てきました。彼らに出会う度に、どういう手立てをすべきか悩んでいました。今日のお話を伺い、レディネスを予想しながら教えること、つまり小学校で外国語活動が始まった今、以前よりも長い時間をかけて文字指導ができるということは、躓く子ども達を減らすことに直結すると学びました。小1から文字や音韻に慣れ親しむことができるよう、長期的な視野を持ち計画を立てようと思いました。貴重なお話をどうもありがとうございました。機会があれば指導手順も教えていただきたいです。
・ユニバーサルデザインを取り入れた具体的授業の展開を考え、実践できるように勉強していきたいと思いました。ありがとうございました。
・今回のセミナーでは 音素 音韻 音節を意識させるアクティビティを 授業に取り入れる事が、子ども達の読み書きの手助けになる事がわかり 是非 今年度は 取り入れて見ようと思いました。ありがとうございました。
・今回も大変ためになるセミナーをどうもありがとうございました。日々の授業ではおろそかになりがちな音域認識を丁寧に行っていくことの大切さを再確認できました。今年度は少しずつフォニックスを取り入れて少しでも子ども達の読み書きへの負担を減らせて行けたらと思います。ありがとうございました。
・とてもわかりやすく、特別な支援についてだけでなく、英語という言語の特性、指導において気をつけるべきことを学べてとても有意義な時間になりました。どの児童にも学ぶ権利があるとお考えの先生のお人柄が伝わってきました。
・何をゴールとするかという視点を常に持つことや音と文字のつながりの大切さを授業にどのように入れていくかを考えることができました。ありがとうございます。
・高校生でも文字の読み書きで躓いている生徒は多くいます。その生徒たちへの支援について学びたいと思い、様々な書籍を読むうちに村上先生の書籍に出会いました。村上先生のお話を直接聞きたいと思い、今回参加をさせて頂きました。村上先生のお話は、期待以上の内容でした。躓く生徒への支援に必要なこと手立てがよくわかりました。どうもありがとうございました。
・こんなにしっかりたっぷりわかりやすくお話しいただけたことに感謝しかありません。かつてとは異なる「子ども観」「学習観」への変容が求められていますが、そうしなければならないからというのではなく、そうした方が、おとなも子どもも幸せになれることに、気づかせてもらえるように思えました。
・参考になることばかり、具体的に教えていただいて、本当に参考になりました。ありがとうございました。
・ありがとうございました。「困った子は困っている子」「障害は社会の側にある」。非力ですが、がんばります!
読み書き指導については、3月に実施した山下桂世子先生のプレミアムセミナーの再放送を2021年4月29日(木・祝)に行います。前回参加されていない方、もう一度復習したい方は是非ご参加ください。
0コメント