LET外国語教育メディア学会の第60回全国研究大会のお知らせです。テーマは「外国語教育におけるユニバーサルデザインの現状とニーズ」です。
(以下HPより)
大会趣旨
2016年に「障害者差別解消法」が施行され,障がいのある人が一般的な教育制度から排除されることなく,自分の力を最大限発揮して学習が進められるようにするための合理的配慮を提供することが教育現場に求められています。本大会では,とりわけ発達障がいや学習障がいのある学習者に寄り添い,その特性を理解した上で,外国語学習において誰もがともに学ぶことができる授業をどのように設計したらよいのか,またどのように支援する必要があるのかという課題を検討します。コミュニケーションのあり方や教材の作成・提示方法などを見直すことは,障がいのあるなしに関わらずすべての学習者にとってアクセスしやすい教育を実現する上で有意義なものになると言われています。現在,発達障がい・学習障がいのある人に対する教育的支援の研究・実践において第一線で活躍している研究者を講演およびシンポジウムの講師として招聘し,大会を通して一人ひとりが持つ個性を理解し,すべての学習者がともに学ぶことができる場を実現するための外国語教育のあり方を探究します。
基調講演1
LD・Dyslexiaへの英語教育の課題 LD/Dyslexia Children and English language learning
竹田 契一 (大阪医科大学LDセンター顧問)
【講演概要】
読み書き障害には、知的には問題がないにもかかわらず読み書きに特化したDyslexia(発達性読み書き障害ともよばれる)から話す、聞く力の障害を含めた広い意味のLD(Learning Disabilities)まで様々である。特に聴覚系の問題を持っており、音韻意識、認識力の低下に起因する読み書きの障害(Phonological Processing Disorders)、視機能の問題として、視力だけではなく、目の動き、両眼の調節機能がアンバランスであることから起こる読み書き障害(Visual or Visuospatial Processing Problems)まで様々である。
平成30年から小学校5・6年生では英語が成績評価の対象になることから、LD・Dyslexiaの児童生徒への効果的な学習指導が緊急課題となっている。
今回はLD・Dyslexiaの特性が英語教育に与える影響について大阪医科大学LDセンターの知見をもとに発表する。
基調講演2
ユニバーサルデザイン英語教育:知ることで気付き、気付くことで始まる手立て
Universal Design TESOL: How to Reach Your Struggling Learners
飯島 睦美 (群馬大学)
【講演概要】
皆さまご存知の通り、日本語は英語に比べて読み書きの難しさが顕出しにくい言語であると言われています。小学校低学年でのことばの学習を終え、中学年からローマ字学習と英語活動が始まり、高学年からはアルファベット文字を扱う機会がさらに増えます。それまでの日本語の学習では、文字の読み書きに難しさがあると気付かないまま過ごしてきて、音声言語から文字言語への学習へ移行する瞬間、一気に奈落の底に落とされてしまう気持ちに襲われえる学習者は、決して少なくありません。もし、英語学習が始まる前に、学習者の持つ様々な特性に本人や周囲が気付くことができていれば、この状況を少しでも変えることができるものと期待されます。今回、英語学習に難しさを感じる学習者の認知傾向や言語学習適性能力についてのこれまで行ってきた研究結果を改めて考察し、今の英語教育に求められることについて、皆さまと共有できればと願っております。
シンポジウム
コーディネータ兼パネリスト1
英語教育におけるUDL:理論と実践の架橋
UDL in English Education: Building Bridges between Theory and Practice
雪丸 尚美 (北九州市立大学)
パネリスト2
英単語読み書き基礎スキルの指導―中学生へのデコーディングと音韻認識
Basic Skills to Read and Write English Words―Focusing on Decoding and Phonological Awareness
村上 加代子 (甲南女子大学)
パネリスト3
ユニバーサルデザインの視点を持ったテストとワークシートの作成
Developing English Tests and Worksheets from the Perspective of Universal Design
佐藤 良子 (麗澤大学)
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